2027年度開始予定・IPA新試験制度
AI・DX時代では、現場が自分たちでデータを整え、使いこなす必要があります。ビジネスパーソン・DX担当者・現場のデータ活用者に向けて、IPAの公開情報を整理し、公式サンプル問題とオリジナル問題で理解度を確認できます。
このサイトを作った理由
AIの活用が広がるほど、ソフトウェアを生み出す主体は変わっていくはずだと考えています。これまでSIerやソフトウェアベンダーが担ってきた開発の仕事は、ユーザー企業のデジタル部門へ、さらにその先は各業務部門自身の手へと、徐々に移っていく。そうした未来を信じています。
ただ、その未来には大きな障害があります。多くの現場では「データはどうあるべきか」という知識がまだ十分に育っていません。AIや開発ツールがどれだけ進化しても、データの構造や品質、責任の持たせ方を理解していなければ、現場主導の開発は土台から崩れてしまいます。
だからこそ、IPAが「データマネジメント試験(仮称)」を新設するという方針に、強く賛同しています。これからの開発の主役になっていく人たちに、データという足場を整えるための一手だと思うからです。
このサイトは、その試験についての情報を追いかけ、学ぶためにつくりました。
2026年10月3日時点のIPA公開情報をもとに作成
位置づけ
ITパスポート試験の次のステップ。ビジネス部門を含む幅広いビジネスパーソンを対象に、データ・AIの利活用に必要なデータマネジメントの基本知識・技能を評価する試験として新設。
試験時間・出題数
科目Aと科目Bを合わせて120分。科目Aは48問、科目Bは12問。
実施方式
全試験区分共通でCBT(Computer Based Testing)方式での実施予定。
開始時期
2027年度の夏頃から秋頃を予定(ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報より後)。
サンプル問題
科目A・科目Bのサンプル問題が2026年6月22日に公開済み(科目A 3問・科目B 2問)。2026年8月31日の更新では、データマネジメント試験への追加はなく、ITパスポート試験(4問)、プロフェッショナルデジタルスキルのマネジメント試験 科目B(4問)・システム試験 科目B(6問)、情報処理安全確保支援士試験 科目Bが新たに公開された。
人材標準との関係(デジタルスキル標準)
2026年4月改訂の「デジタルスキル標準(DSS)ver.2.0」で、DX推進人材の類型に「データマネジメント」が新設され、データスチュワード/データエンジニア/データアーキテクトの3ロールが定義された(試験との直接の対応関係は未公表だが、同時期のデータマネジメント人材育成の動きとして本サイトでは注目している。役割の解説はデータスチュワードのページ参照)。
出題範囲の詳細(シラバス)
2026年8月31日、データマネジメント試験(仮称)のシラバス案 Ver.0.1 が初めて公開されました。科目Aの出題範囲の細目(重点分野=中分類8「データマネジメント」・中分類9「データ分析・データ利活用」・中分類10「AI利活用」の用語例)と、科目Bの【目標とする技能】4大項目16小項目が示されています。中身は下記のセクション04・05で整理しました。同日、ITパスポート試験・情報処理安全確保支援士試験のシラバス案も公開。その後、2026年9月30日に情報セキュリティマネジメント試験・基本情報技術者試験と、プロフェッショナルデジタルスキル試験・情報処理安全確保支援士試験に共通の科目A-1(共通知識)のシラバス案が公開されました。プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験のシラバス案は引き続き準備中です。
実施回数・実施期間
ITパスポート等のような通年実施になるか、回数を絞った実施になるかは検討中。
正式名称
現時点では「データマネジメント試験(仮称)」。「仮称」が外れるタイミングは未発表。
受験料・申込方法
現時点で公表情報なし。
2027年度の新試験制度は8区分に再編される予定。データマネジメント試験は、ITパスポートと専門区分の間に新設されます。
シラバス案Ver.0.1では、重点分野が中分類8「データマネジメント」・中分類9「データ分析・データ利活用」・中分類10「AI利活用」と示されました。48問・科目Bと合わせて120分。公開されているサンプル問題はいずれもア〜エの四択でしたが、IPAは出題形式を明示していません(本サイトによる観察)。
具体的な業務シナリオを読み、データ活用ルールや責任分担、根本原因の特定などを問う長文事例問題。12問。シラバス案Ver.0.1では、出題の土台となる【目標とする技能】が4大項目16小項目として示されました(セクション05)。
シラバス案Ver.0.1で、データガバナンス/データ品質管理/メタデータ管理/データライフサイクル/データ基盤が重点分野の小分類として明示されました。いずれも公開済みサンプル問題の題材と一致しています。
まずは公式サンプル問題を解いて出題の雰囲気をつかみ、慣れてきたらオリジナル問題演習で練習量を増やす、という使い方を想定しています。新情報が出るたびに台帳もチェックしてください。
2026年8月31日公開のシラバス案(Ver.0.1)【目標とする知識】より、用語例のうち特徴的なものを本サイトが抜粋・整理
【内容】組織が推進するデータマネジメントの方針や規程を正しく理解し、実務担当者として日々の業務において適切に遵守・実践するために必要な、データマネジメントの基本的な知識を問う。データの管理主体者(DMO、データオーナーなど)が策定した運用ルールに従い、現場におけるデータ取扱いの正確な情報連携を行うために必要な、データガバナンスやデータライフサイクルに関する基本的な知識を問う。
本サイトのテーマ解説5テーマは、いずれもこの中分類の小分類に対応しています。新しく目に付くのは SSOT・データスペース・データスワンプ・データリネージで、これらは公開済みのサンプル問題には登場していない用語です。
【内容】データサイエンティストなどの高度なデータ分析を行う担当者からの要請や分析結果を正しく理解し、実務の観点から円滑に連携・協力するために必要な、データ基盤、データ分析に関する基本的な知識を問う。
データ基盤の側に データファブリック・セマンティックレイヤー・データプレパレーション といった比較的新しい語が入っている点が特徴です。
【内容】AIを適切に利活用するために必要な考え方が示された国や業界団体が定めた原則やガイドラインなどがあること、及びそれらの基本的な知識を問う。AIを価値創造や意思決定のための活動に効果的に活用するために必要な、AIの活用領域及び活用目的、AIの信頼性を保って利用する方法に関する基本的な知識を問う。
3つある重点分野のうち、本サイトのテーマ解説がまだカバーできていないのがこの中分類です。解説ページの追加を検討しています。
いずれも「実務担当者として、データを安全・適正に取り扱うために必要な範囲」に絞られており、深い技術知識は求められていません。
2026年8月31日公開のシラバス案(Ver.0.1)【目標とする技能】より、4大項目16小項目を本サイトが整理
公開済みの科目Bサンプル問題2問は、いずれもこの大項目1に対応します。問1(データオーナーシップと責任分担)は1-3・1-4、問2(ECサイトと実店舗の顧客データ統合)は1-2にあたります。
知識ではなく「組織の中でどう振る舞うか」を問う項目です。ITパスポート試験に新設されたマインド・スタンスと同じ発想が、データマネジメント試験では科目Bの技能として組み込まれています。