現行シラバス Ver.6.5 の用語例1,096語を、新シラバス案 Ver.0.1 の全文と照合
全体では、1,096語のうち584語(53%)が新シラバス案の本文に一度も出てきません。ただし注目してほしいのは全体の数字ではなく、現行の大分類ごとに率がまるで違うことです。
| 現行の大分類 | 新シラバス案に 記載が見当たらない |
新体系での主な行き先 |
|---|---|---|
| 開発技術 | 39 / 45語 87% |
中分類20・21 → 範囲外 |
| 基礎理論 | 64 / 83語 77% |
中分類22 → 範囲外/統計は中分類9へ |
| コンピュータシステム | 74 / 105語 70% |
中分類14・15へ圧縮 |
| サービスマネジメント | 27 / 46語 59% |
中分類4・12へ |
| 技術要素 | 160 / 308語 52% |
中分類16〜19・23〜25へ |
| 企業と法務 | 104 / 239語 44% |
中分類11・27〜30へ |
| 経営戦略 | 91 / 208語 44% |
中分類1〜3へ |
| システム戦略 | 21 / 52語 40% |
中分類2・3・15へ |
| プロジェクトマネジメント | 4 / 10語 40% |
中分類5(ほぼそのまま) |
開発技術が87%、基礎理論が77%、コンピュータシステムが70%。いっぽうプロジェクトマネジメントとシステム戦略は40%で、倍以上の開きがあります。
そして率が高い順に並ぶ3つは、いずれも出題範囲から外れると示された中分類に対応する分野です。
まず認めておくべき事実があります。新シラバス案は、そもそも分量が現行の3割しかありません。空白を除いた文字数で、現行 Ver.6.5 が約58,000字、新シラバス案 Ver.0.1 が約18,000字です。現行は2008年の初版から18年かけて用語を積み増してきたのに対し、新シラバスはまだ最初の案です。
ですから「記載が見当たらない語が多い」こと自体は、当たり前と言えば当たり前です。問題は、その当たり前で説明がつくかどうかです。
もし単に「案なので全体的に用語が少ない」だけなら、どの分野もだいたい同じ率で減るはずです。実際には開発技術87%に対しプロジェクトマネジメント40%と、2倍以上の差がついています。
分量が一律に薄いことは、この差を説明しません。特定の分野だけが集中的に落ちているというのが、この数字から言えることです。(この読み取りは本サイトのものです。)
記載が見当たらない584語から、分野ごとに代表的なものを抜粋
| 現行の大分類 | 新シラバス案に記載が見当たらない語(抜粋) |
|---|---|
| 開発技術 | スクラム、DevOps、ウォーターフォールモデル、テスト駆動開発、ペアプログラミング、ホワイトボックステスト、リファクタリング、ファンクションポイント法、オブジェクト指向 |
| 基礎理論 | Java、Python、JavaScript、XML、JSON、2分木、スタック、データ型、サブルーチン、ベクトル、バックプロパゲーション |
| コンピュータシステム | DDR4 SDRAM、DIMM、HDD、NAS、MTBF、MTTR、キャッシュメモリ、クロック周波数、イメージスキャナー、カレントディレクトリ |
| 技術要素 | ACID特性、E-R図、DMZ、MACアドレス、NTP、H.264、AAC、DRM、CSS、2相コミットメント |
| サービスマネジメント | SLI、SLO、問題管理、構成管理、リリース及び展開管理、サービス可用性管理、無停電電源装置、自家発電装置 |
| 企業と法務 | BCP、BCM、PERT、PL法、ISO 9000、JIS Q 38500、Society5.0、e-ラーニング |
| 経営戦略 | PPM、BSC、4P・4C、ERPパッケージ、MRP、O2O、CASE、HEMS、ETCシステム |
並べてみると傾向が見えます。スクラム、DevOps、テスト駆動開発、ホワイトボックステスト——システムを作る手順の語。Java、Python、2分木、スタック、データ型——プログラムを書くための語。DDR4 SDRAM、DIMM、MTBF、キャッシュメモリ、クロック周波数——機械の中身を測る語。
いずれも「作る側・中身を知る側」の語彙です。2進数や論理演算がシラバス案の全文に一度も出てこないことと、同じ方向を向いています。
先に書いておくべき限界
「53%が出題されなくなる」とは読めない
新シラバス案は Ver.0.1 の「案」で、分量も現行の3割です。確定版では用語が大幅に追加される可能性が高いと考えるべきです。現行シラバスも Ver.1.0 から改訂を重ねて今の語数になりました。
「この語は出ない」と個別に断定できない
照合しているのは語の文字列であって、概念ではありません。名前が変わっただけで中身が残っている例が実際にあります。
・E-R図 → 新シラバス案には「E-Rモデル」がある
・クラウドコンピューティング → 「クラウドサービス」がある
この2語は本ページの集計上「記載が見当たらない」に入っていますが、概念としては残っています。
語数そのものにも幅がある
本サイトの抽出では1,096語になりましたが、これは括弧内の下位用語をどう数えるかで変わります。数え方の違いによる誤差を含んだ数字として見てください。
では何が言えるのか
言えるのは分野ごとの相対的な差です。表記ゆれや分量不足は全分野に等しく効くので、開発技術87%とプロジェクトマネジメント40%の開きを説明できません。特定分野が集中的に落ちている、という傾向はこれらの限界を差し引いても残ります。
以下は本サイトの考えです
この集計から実務的に引き出せることは、そう多くありません。ただ一つだけはっきりしています。
現行の参考書で「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」「データベース」「ネットワーク」の章を読むのは、いま勉強しても無駄になりにくい。逆に「開発技術」「基礎理論」の章は、新試験だけを見据えるなら優先度が下がります。
ただし新シラバスの開始時期は未公表です。現行シラバスで受験するなら、いまの範囲をひととおり押さえる必要があります。詳しくはよくある質問をご覧ください。
再現できるように手順を書いておきます。
1. 現行の用語を抜き出す
現行シラバス Ver.6.5 のPDF(全66ページ)から本文だけを取り出し、「用語例」に続く記載を全角カンマで分割して1,096語を得ました。PDFは均等割り付けで文字間に空白が入るため、比較用のキーは空白をすべて除いて作成しています。目次と改訂履歴は対象外です。
2. 新シラバス案と照合する
新シラバス案 Ver.0.1 の全文(同じく空白を除去)に、その語が部分一致で現れるかを調べました。括弧内の読みや英語綴りを外した本体でも照合しています。無作為に抽出した25語を目視で検証し、誤判定がないことを確認しました。
3. 引用について
本ページの集計結果は、出典としてこのページへのリンクを明記していただければ引用していただいて構いません。その際は本サイトが機械的に集計した非公式の数字である旨と、§04の限界もあわせて記載していただけると助かります。